水草の種類は数えきれないほどあり、品種ごとに育て方がまったく違います。水草の育てやすさは浴びせる光量、水中の二酸化炭素濃度、水質によって左右されます。
しかしこれら3つの要素を初心者が管理することは難しいです。そのため、水草を育てる初心者は3つの要素がなくても育ってくれる品種を選ぶべきです。
この記事では水草水槽のレイアウトに合う水草、メダカ水槽やビオトープに合う水草、金魚水槽に合う水草の3つのシーンに分けて初心者でも育てやすい水草を紹介しています。
水草を育てたい初心者が知るべき3つの要素
水草の育成に影響する光量
水草を健康的かつ綺麗な状態に育てるには光量が必要です。
ただし、日光が当たる場所に水槽を置くのではなくLEDライトによる管理が望ましいです。というのも日光の当たる場所に水槽を設置すると夏場は水温が高くなりすぎて水質が悪化してしまうだけでなく、日光が強すぎてコケが大繁殖してしまうリスクがあるからです。
水草を育てるときは光量の目安となるルーメンを参照して数値の高いものを選ぶと失敗しません。水槽のサイズ別の必要光量については以下の表を参考にしてください。
水槽規格 | まぁまぁ育つ | 十分育つ |
---|---|---|
20cm | 190〜300lm | 380~600lm |
30cm | 300~500lm | 588~1,176lm |
45cm | 750~1,000lm | 1,500~2,000lm |
60cm | 1,000~2,000lm | 2,550~3,000lm |
主な基準参考商品:リーフグロー、suisaku300~、KOTOBUKIツイン、GEXパワーⅢ、アクロtriangle
水草の育成に影響するco2
植物が光合成をするときに二酸化炭素を必要とするように、水中で育つ水草も二酸化炭素(co2)が必要です。
co2を水中に添加するには、co2レギュレーターというco2を添加する特別な装置を購入するか、炭酸水から発するco2を水槽に添加するか、食品を発酵させた時に出るco2を水槽に添加するといった方法が挙げられます。
もちろん、co2を水槽内に添加しなくても育つ水草はあるので、初心者の人はco2が不要で育つ水草から挑戦してみると良いでしょう。
水草の育成に影響する水質
水草の育成を大きく左右する要素の1つが水質です。
水草も成長するために水中の不純物などを栄養源にしますが、あまりに水が汚れていたり、よどんでいると育たず枯れたり溶けたりします。
水質を良好に保つには濾過フィルターの設置は必須です。小さい水槽なら外掛けフィルター、中くらいの水槽から大きい水槽は外部フィルターというものを使用しましょう。
小さい水槽の目安 | 幅15cm~幅30cmの水槽 |
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中くらいの水槽の目安 | 幅:奥行:高さ30cmの水槽 幅45cmの水槽 |
大きい水槽の目安 | 幅60cm以上の水槽 |
また、夜間にはエアレーション(ブクブク)をすることで水中のバクテリアの死滅を防ぐことができ、さらに良好な水質にすることができます。
初心者も育てやすい水草・水草水槽におすすめ
水草水槽をレイアウトするときは、水槽の底(低床)を這う水草と背丈が出る水草を選ぶことが大切です。品種によって低床に使える水草、中景(水槽の中間)に使える水草、後景(水槽の後ろ)に使える水草があり、チョイスを間違えるとレイアウトバランスが悪くなります。
低床に使える水草(前景草)おすすめ
ニューラージパールグラス
co2がなくても育ちやすい水草で、地を這うように成長していきます。
水槽に緑の絨毯を簡単に作りたいという人におすすめの品種で、アクアリウム上級者にも愛される水草です。成長速度が早いため、早く茂った水槽を見たい人はニューラージパールグラスを選ぶと良いでしょう。
ウォーターローン
ウォーターローンco2を水槽内に添加するといった特別な方法をしなくても育ってくれる初心者に優しい水草です。2週間〜1ヶ月もすれば水槽内に芝生のような姿を見ることができます。
グロッソスティグマ
グロッソスティグマは丸みのある葉が特徴的な水草で低床に植える水草の中でも濃い緑が印象的です。アクアリウム業界では古くから愛されている品種でホームセンターでも見かけることがあるほどです。
中景に使える水草おすすめ
ミクロソリウム
ミクロソリウムはプテロプス、ナローリーフ、トライデントといった種類に分かれますが、ここではプテロプスをおすすめします。ミクロソリウム・プテロプスは1枚の葉幅のある大きい葉っぱが根元から生える形をしているのが特徴的です。
co2がなくても育ち、さらに光量が少なくても成長または枯らさずに維持することができるので手間をあまりかけたくない人にはおすすめです。ミクロソリウムだけで水槽レイアウトを作ってみるのも悪くありません。
アヌビアスナナ
アヌビアスナナは細長くしっかりとした茎から丸みのある葉が広がるのが特徴的なサトイモの仲間です。観葉植物ではアンスリウムと同じ仲間です。
アヌビアスナナは光量なし、co2なしの環境でもゆっくり育っていくので手間をかけなくない人にピッタリです。また、成長していくと水中に花を咲かせることがあるので神秘的な体験を得ることができます。
ウォーターバコパ
ウォーターバコパは古くから初心者向けの水草としてアクアショップに置かれています。少し丸みがあり中くらいの葉っぱを展開しならがら茎を伸ばしていきます。背丈はあまり大きくなりすぎないので中茎に添える水草としておすすめです。
後景に使える水草おすすめ
ロタラsp.レディッシュ
ロタラsp.レディッシュは赤い水草の代表格で、水中で真っ赤に染まる水草です。
赤い水草は本来co2の添加や強い光量を浴びせないと赤くならないのですが、レディッシュはco2なし、安いLEDライトの光量でもしっかり赤く染まるので、初心者が唯一育てられる赤い水草です。水槽に彩りを加えたい人におすすめです。
グリーンロタラ
グリーンロタラは緑色の細長い葉を展開しながら茎をニョキニョキと伸ばしていく水草です。co2がなくてもしっかり育ち、水槽の背景を森のように茂らすことも可能です。
グリーンロタラは茎が伸びていくとあっという間に水面に到達するので、ハサミを使ってトリミングをするといったことが必要になります。
パールグラス
パールグラスは小さく丸みのある葉っぱを展開しながら茎を伸ばしていく水草です。co2がなくても育ち、モフモフとした茂みを作ることが可能です。
パールグラスは繁殖力が強いので、水草が植えていないスカスカの場所があったとしても時間が経過するとパールグラスが場所を埋めてくれるほどです。グリーンロタラと同様に成長して伸びていくと水面に到達するので、定期的なトリミングが必要になります。
バリスネリア
バリスネリアはテープのように1枚の長い葉幅のある葉が根元から何本も生える水草です。砂利との相性もよいため、川魚を飼育する環境に用いるのも良いでしょう。
水草水槽の後景に植えるとグリーンロタラやパールグラスを植えた時のようなモサッとした茂みとは違う、涼しげのある茂みを演出することができます。
co2なし、強い光量なしでも育つので初心者におすすめです。
初心者が育てやすい水草・メダカ水槽におすすめ
ウォーターコイン
ウォーターコインは水中、水上どちらも育つ水草です。細長い茎にコインのような葉が展開するのが最大の特徴で、大きくなったウォーターコインはメダカが棲むビオトープでは傘のような役割を持ち、直射日光避けや隠れ家として重宝します。
サンショウモ
サンショウモは浮草で、暖かい時期になると一気に数が増えてビオトープの水面を覆うほどです。メダカにとっては隠れ家が増えるので相性は良いです。特に育てるために何かをする必要はありません。
アマゾンフロッグビット
アマゾンフロッグビットは浮草で、サンショウモと同じように気温、水温が上がると一気に数が増えてビオトープの水面を覆い尽くします。
アマゾンフロッグビットの根は長いため、メダカの産卵床としても役に立ちます。狭いビオトープではアマゾンフロッグビットが増えすぎることで、水中のメダカの泳ぐスペースが減るので定期的に間引き(株を掬って捨てる)が必要になります。
オーストラリアンクローバー(ノチドメ)
オーストラリアンクローバーはクローバーのような葉が細長い蔦にたくさんついて生い茂っていく水草です。水中でも水上でもどちらでも育ち、特別な管理を必要としません。
日本の固有種ではノチドメやチドメグサと呼ばれています。ビオトープで使うなら河川に自生しているノチドメを採取して使用するのも良いでしょう。
初心者が育てやすい水草・金魚水槽におすすめ
カボンバ
カボンバはco2や強い光量を必要としなくても育成・維持が簡単にできる水草です。葉がきめ細かく、切れやすいので金魚が好んでよく食べることから金魚水槽との相性はバッチリです。
アンブリア
アンブリアは和名でキクモと呼ばれます。
日本にも自生する水草で金魚水槽に古くから親しまれています。co2や強い光量がなくても緩やかに成長し、特別な管理がなくても綺麗な状態で維持することができます。
マツモ
マツモは金魚藻とも呼ばれるメジャーな水草の一つです。co2や強い光量がなくても数を増やしていくほどタフな水草です。マツモの葉はきめ細かく、プツプツとキレやすいので金魚が好んで食べる傾向にあります。