過食が止まらない助けて人に見えてほしい2つの解決知恵袋まとめ

2024年4月13日

過食症は、ストレスへの対処行動や自尊心の低さ、依存症的側面など、様々な要因が複雑に関わる病気です。そのため、過食症の治療には薬物療法で生物学的側面にアプローチするだけでなく、心理療法でメンタル面にも働きかける必要があります。

具体的には自尊心を高める支援、代替行動の獲得支援、ストレス対処法の指導などが重要になります。一見、習慣的な行動パターンが強固で抜け出せないように思えますが、適切な治療を継続的に受けることで、確実に改善への道は開けます。薬物療法と心理療法を組み合わせながら、着実に歩を進めれば、必ず規則正しい食生活を取り戻すことができるはずです。

過食が止まらない主な理由

ストレスが影響

ストレスは扁桃体を活性化させ、視床下部からのCRH分泌を促進します。これにより下垂体からACTHが分泌され、最終的に副腎皮質からストレスホルモンであるコルチゾールが放出されます。

慢性的なコルチゾール増加は、食欲を亢進するニューロペプチドYの分泌を高め、高糖質・高脂肪の食物への欲求を強めます。つまり、ストレスがかかると過食へと向かいやすくなるのです。

食べ物への依存とドーパミンが影響

口当たりの良い食物、特に糖質は、コカインなどの依存性薬物と同様に、脳の腹側被蓋野でドーパミンの分泌を促進します。ドーパミンは快楽物質で、脳の側坐核を刺激することで快感を覚えるようになります。その結果、糖質を含む食物への渇望が生じ、過食にも繋がります。報酬系が活性化されることで、一時的にストレス反応が和らぐため、ストレス解消のために過食に走るという悪循環に陥ります。

自尊心の低さと完璧主義が起因になることも

過食症の人の多くは自己肯定感が低く、自分自身を価値のある存在だと思えていません。一方で、完璧を求める傾向が強すぎると、自分に過剰な期待を抱き、それが満たせないことで自尊心が傷つきます。

このように低い自尊心と完璧主義が、過食の背景にあると考えられています。食べることで一時的に満足感が得られるものの、結果的に体型や体重へのこだわりが高まり、更なる過食へとつながってしまうのです。

過食が止まらない人を助けるには

心理療法で治す

自尊心を高める

自尊心を高めるためには、まず「将来こうありたい自分」をイメージし、そのリストを作ることから始めましょう。次にその理想の自分に近づくための具体的な計画を立て、少しずつでも成功体験を積み重ねていきます。自分ができたこと、上手くいったことに注目することで、徐々に自尊心が高まっていくはずです。

一方で完璧主義や、他者から否定的に評価されることへの恐れは、自尊心の向上を妨げてしまいます。自分に厳しすぎず、物事を白黒つけすぎずに、自分の気持ちや欲求を意識し、受け入れる努力が必要不可欠です。

ストレス解消方法を探す

ストレスへの自己治療として過食に頼らないよう、新しい行動習慣を身につける必要があります。運動、散歩、瞑想、ヨガなどを取り入れ、ストレスの少ない生活環境を作っていきましょう。過食の衝動があった時は、本当に空腹なのか、それとも何か別の感情が過食を求めているのかを見極める習慣をつけることも大切です。

感情と食欲を分けて認識する訓練を重ねることで、空腹感に素直に過食してしまうことを予防できます。

満腹感や空腹感の認識する

過食症の人は、満腹感や空腹感が分かりづらくなっている場合があります。そのため、食べる前に自分の体の中の空腹シグナルをよく感じ取る練習をしましょう。意識的に「今、お腹は空いているのか?」と自問自答を繰り返すことで、徐々に体の声に耳を傾けられるようになります。

また、食べる速度を遅くし、ゆっくりと噛むことで、満腹感に気づきやすくなります。空腹感と満腹感を上手に認識できるようになると、過食のコントロールもしやすくなります。

代替行動を決めておく

過食の衝動がある時は、代替できる行動を事前に用意しておくと良いでしょう。例えばフルーツをゆっくり食べる、オレンジジュースの氷を作ってなめる、チューインガムを噛む、歯を磨く、角氷をなめる、大きなコップで水や紅茶を飲む、散歩や運動をする、趣味に没頭する、友人に電話をかけるなど、過食からその場を離れる行動を心がけましょう。最初は意識的に実践する必要がありますが、やがてそうした代替行動が習慣化されていきます。

医療機関に相談して治す

医師の診断に従って最適な治療を進めてください。

SSRIの処方と活用

過食症に対する第一選択薬は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)です。SSRIには過食の頻度を下げる効果があり、嘔吐などの排出行動も抑えられます。

投与量は100mgが標準的です。初期量は25mgから開始し、副作用がないことを確認しながら徐々に増量していきます。SSRIの効果判定は数週間で行い、3週間服用しても改善がみられなければ、別の薬剤を検討する必要があります。

トピラマートの処方と活用

トピラマートは気分安定作用のある抗てんかん薬で、食欲抑制と体重減少作用があります。過食症に対しては100mg~200mgの用量で効果的とされています。

しかし副作用として皮膚の感覚異常、口渇、頭痛などが出る可能性があるため、25mgから開始し、副作用がないことを確認しながら徐々に増量していきます。100mgまで増量すると食欲が落ち着き、過食頻度が下がってくるはずです。効果不十分な場合は200mgまで増量できます。低体重の患者では体重減少作用に注意が必要です。SSRIとの併用も有効です。