自己破産の過程での調査範囲は広く、申立人の提出する財産目録の精査から始まります。破産管財人は預貯金、不動産、高価な物品、保険、有価証券などを徹底的に調査し、申告された情報の正確性を確かめます。
さらに、破産手続き中に破産者宛の郵送物もチェックされ、隠された資産がないか調べられます。不動産の場合は、専門家による現地調査が行われることもあります。これらの調査は、財産隠しを防ぎ、債権者に公平な配当をするために行われます。
自己破産はどこまで調べられるのか
提出書類と聴取で調べられること
自己破産を申し立てた際、申立人は財産の一覧を提出し、これが破産管財人によって詳細に調査されます。預金口座、不動産、自動車、価値のある品々、保険、有価証券、貸し付けたお金などが調査の対象となります。
この調査は、申告された財産が全てかどうかを確認するため、提出された書類の精査や質問による聴取が行われます。正直に全てを申告することが重要であり、隠し持っている財産が後で発見された場合、重大な結果を招く可能性があります。
破産手続き中の郵送物も調べられる
破産手続き開始後は、破産者宛の郵送物全てが破産管財人に転送され、中身がチェックされます。この過程で、申告されていない資産や債権者が明らかになることがあります。
例えば、隠された投資先からの郵便や、知られていなかった銀行口座からの通知などが、新たな財産の発見につながる場合があります。このような調査は、財産隠しを未然に防ぐための重要な手段です。
現地調査での物件確認もされる
特に不動産に関しては、破産管財人や不動産鑑定人が現地に訪れて物件の調査を行います。この調査は破産者が立ち会うことが必要で、調査を妨害したり、適切に協力しない場合、免責を得ることができなくなる恐れがあります。
物件の内外が調査され、その価値が評価されることで、財産の正確な換価が可能になります。このプロセスは、破産者が所有する不動産の正確な価値を把握するために不可欠です。
自己破産で財産隠しをするリスク
免責不許可事由で自己破産を失敗する
自己破産の過程で財産を隠した場合、これが免責不許可事由となり、自己破産そのものが失敗に終わるリスクがあります。免責不許可事由に該当すると、破産手続きによって借金から解放されることはありません。
この状況は、自己破産を申し立てる本来の目的を完全に損なうもので、結果的に借金の返済義務が残り続けることになります。さらに、一度免責不許可の決定を受けると、その後の金融活動にも大きな影響を及ぼす可能性が高いです。
民事上および刑事上の責任に問われる
財産隠しは、民事上だけでなく刑事上の責任を問われることにもつながります。民事上では、免責不許可事由として自己破産の目的を果たせなくなる可能性があり、刑事上では「詐欺破産罪」として罰せられる可能性があります。
これには10年以下の懲役や1000万円以下の罰金が課される場合があり、財産隠しの重大な結果を示しています。自己破産を考える際は、このようなリスクを避けるためにも、全ての財産を正直に申告することが不可欠です。