熱中症になった時に、体を冷やしたくてお風呂に入りたくなるのは自然な反応です。しかし、熱中症の症状が残っている状態でお風呂に入ると、血圧の変動などから重大な健康被害を引き起こす危険があります。本記事では、熱中症時の適切なお風呂入浴タイミングと、入浴時の注意点を詳しくご紹介します。
熱中症でお風呂に入る2つのリスク
熱中症になると意識がはっきりしない状態になります。そのような状態でお風呂に入ると、大きな危険があります。
フラフラしている人は溺れる危険がある
熱中症で体調を崩している時に、フラフラした状態でお風呂に入ると、転んでおぼれてしまう可能性が高くなります。済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師は「熱中症の症状が出ている時に水風呂に入るのは危険です。ふらふらしている時にはそのままおぼれてしまうおそれがあります」と指摘しています。
脳卒中や心筋梗塞を起こす可能性がある
熱中症で体温が上がった状態から、急に冷たいお風呂に浸かると、体に大きな負担がかかります。体温と水温の温度差が大きすぎると、血圧の変動が激しくなり、脳卒中や心筋梗塞などの重大な疾患を引き起こす危険があります。体を冷やす際は、徐々に温度変化に慣らすことが重要です。
熱中症になったら、いつからお風呂に入っていいのか
熱中症の症状がおさまり、体温が下がり、水分・塩分を補給できたら、そこから慎重にお風呂に入りましょう。症状が改善する前に無理してお風呂に入ると、かえって危険な状態になるので注意が必要です。
だるさ、めまい、ふらつきがなくなってから
熱中症の症状である、だるさ、めまい、ふらつきなどの症状が治まってから、お風呂に入るのが安全です。これらの症状がある間は、意識がはっきりしない状態なので、先ほど説明したようにお風呂に入ると溺れる危険があります。
体温が正常に戻ってから
熱中症では体温が37度を超える状態になります。お風呂に入る前には、体温が正常の36~37度前後に下がっていることを確認しましょう。高体温のままお風呂に入ると、温度差が大きすぎて血圧の変動が激しくなり、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。
水分・塩分を補給してから
熱中症では汗をかくことで水分や塩分が失われます。お風呂に入る前に、経口補水液や塩分を含む飲み物を飲んで、水分と塩分を補給しておくことが大切です。脱水状態のままだと、さらに体調を悪化させてしまう可能性があります。
どうしてもお風呂に入りたい時の注意点
体調が十分に回復する前にお風呂に入ると危険ですが、どうしても入浴したい場合は、以下の点に注意する必要があります。
急に浸からず、徐々に体を慣らす
熱中症時は体温が高い状態なので、急に冷たいお風呂に浸かると体に大きな負担がかかります。まずは足先から少しずつお湯に入り、徐々に体を慣らしていくことが重要です。血圧の変動を和らげるためにも、10〜15分くらいかけてゆっくりと浸かるようにしましょう。
温度差が大きすぎないよう注意
体と湯船の温度差が大きすぎると、血圧変動の危険が高まります。お湯の温度は40度以下が目安で、熱すぎるお湯は避けるべきです。熱中症回復期なので、少し涼しめの設定がよいでしょう。
長湯は避ける
長時間お風呂に入り続けると、血圧の変動が起こりやすくなります。10分程度の入浴にとどめ、体力の消耗を避けることが大切です。
1人で入浴せず、付き添いを求める
意識がくらくらしてきたり、具合が悪くなった場合に備え、1人で入浴するのは避けましょう。家族など、付き添いの人がいると安心です。万が一の際に助けを求められるようにしておきましょう。