溶連菌感染症を放置すると、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などの重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。特に、高熱やイチゴ舌、特有の発疹などの症状は注意が必要です。
早期発見と治療のためには、流行時期や症状の確認、そして疑わしい場合は迅速に医療機関を受診することが重要です。治療中は抗菌薬を処方された通りに服用し、完治まで学校や職場を休むことが推奨されます。
溶連菌に気づかず放置するとどうなる?
溶連菌感染症は、溶血性連鎖球菌によって引き起こされる病気で、特に5~15歳の幼児や学童に多く見られます。この病気は春から夏、そして冬に流行しやすく、高熱や咽頭炎、扁桃炎などの症状を引き起こします。特に、イチゴ舌と呼ばれる症状は溶連菌感染症の特徴的なものです。しかし、この病気はウイルス性の風邪と異なり、自然治癒することはなく、適切な治療が必要です。放置すると、症状が悪化したり、他の合併症を引き起こすリスクがあります。
溶連菌は自然治癒できるケースがある
溶連菌感染症は、自然治癒することはありません。この病気は細菌が原因であり、抗菌薬による治療が必要です。症状が軽い場合でも、放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性があります。特に、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などの病気は、溶連菌感染症の合併症として知られており、心臓や腎臓に深刻な影響を及ぼすことがあります。
リウマチ熱を発症するリスクがある
溶連菌感染症を放置すると、リウマチ熱を発症するリスクがあります。リウマチ熱は、心臓の弁膜に障害を起こす可能性があり、未治療の場合、心臓に永続的なダメージを与えることがあります。このため、溶連菌感染症の疑いがある場合は、迅速に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
腎不全を発症するリスクがある
溶連菌感染症は、急性糸球体腎炎という腎臓の病気を引き起こすことがあります。この病気は腎臓の機能に影響を及ぼし、最悪の場合、腎不全を引き起こす可能性があります。症状としては、顔や手足のむくみや尿の出が悪くなることが挙げられます。これらの症状が見られた場合は、直ちに医療機関を受診することが求められます。
劇症型溶連菌感染症で死亡するリスクがある
溶連菌感染症は、稀に劇症型溶連菌感染症を引き起こすことがあります。これは非常に重篤な状態で、迅速な治療が必要です。放置すると、生命を脅かす可能性があります。このため、溶連菌感染症の症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
他の人にうつしてしまう恐れがある
溶連菌感染症は、飛沫感染や接触感染によって他の人にも広がる可能性があります。特に、家族や兄弟間での感染が見られることがあります。感染力は強く、何度も感染することがあります。このため、感染した場合は、他の人に感染を広げないように注意が必要です。抗菌薬を服用して24時間後には、感染力は弱まるとされていますが、それまでは特に注意が必要です。
溶連菌に気づくためにすべきこと
溶連菌感染症は、特有の症状を示すため、これらを知っておくことで早期発見につながります。早期に治療を開始することで、重篤な合併症のリスクを低減できます。
溶連菌の流行時期を知っておく
溶連菌感染症は春から夏にかけて、そして冬に流行する傾向があります。この時期には特に注意が必要で、周囲で感染者が出た場合は、自身も症状に注意を払うことが大切です。
舌の色を確認する
溶連菌感染症の特徴的な症状の一つに「イチゴ舌」があります。これは舌が赤くブツブツした状態を指し、感染の初期段階で見られることが多いです。この症状が見られた場合は、医療機関を受診することをお勧めします。
小さな赤い発疹が出ていないか確認する
溶連菌感染症では、高熱と喉の痛みなどの症状に続いて、赤くザラザラした小さな発疹が首や胸、手首、足首に出ることがあります。発疹の出方や程度はさまざまですが、これらが見られた場合は、溶連菌感染症の可能性があるため、注意が必要です。
高熱が出ていないか確認する
溶連菌感染症では、突然39℃前後の高い熱が出ることが一般的です。このような急な発熱が見られた場合は、他の風邪症状と区別して、溶連菌感染症の可能性を考慮する必要があります。
風邪の症状が出たら病院へ行く
溶連菌感染症は、風邪と似た症状を示すことがありますが、治療法が異なります。特に、高熱やのどの痛み、イチゴ舌、特有の発疹などの症状が見られた場合は、風邪と判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
溶連菌を治すまでの注意点
溶連菌感染症の治療には、抗菌薬の服用が必要です。しかし、治療中に注意すべき点がいくつかあります。適切な治療を行い、完治を目指すためには、以下の点に注意してください。
抗生剤を飲んで治療(薬は最後まで飲み切ること)
抗菌薬は、溶連菌感染症の治療に効果的ですが、処方された薬は最後まで飲み切ることが重要です。症状が改善しても、体内にはまだ菌が残っており、薬の服用を中断すると再発することがあります。また、合併症を防ぐためにも、医師の指示に従って治療を完了させることが求められます。
学校・職場は治るまで休む(回復期間の目安)
溶連菌感染症は感染力が強く、他の人に感染するリスクがあります。そのため、治療中は学校や職場を休むことが推奨されます。抗菌薬を服用してから24時間後には感染力は弱まりますが、完全に回復するまでは他の人との接触を避けることが望ましいです。