メダカをエアレーション(ブクブク)なしでの飼育は可能ですが、その際、水量とメダカの数のバランスに注意が必要です。
なぜなら、メダカが多すぎると酸素が不足し、その結果、酸欠で死亡したり、酸素不足によるストレスで弱ってしまう可能性があるからです。 特に屋外での飼育では、暑さ対策も重要となります。
暑さ対策とエアレーションを同時に施さないと、水中の飽和溶存酸素量が低下し、メダカが死んでしまうリスクが高まります。
本記事では、メダカをエアレーションなしで飼育する際のリスクや、エアレーションの重要性、そしてエアレーションを使用しない条件下での基本的な飼育方法について詳しく説明します。
メダカを酸素なし(ブクブクなし)で飼育できるのか
酸素なし(ブクブクなし)の飼育はできる
魚の飼育において、メダカを含む多くの種は、エアレーション(通称:ブクブク)を使用しなくても生育することが可能です。ただし、正確には「酸素なし」ではなく、「ブクブクなし」での飼育となります。
エアレーションの主要な機能は、水面を揺らすことで水流を生み出し、その結果として大気中の酸素を水中に取り込むことです。
エアレーションによる水面の動きから、多量の酸素が供給されている印象を受けるかもしれませんが、実際には水中に取り込むことができる酸素量(飽和溶存酸素量)には上限が存在します。従って、水中に過剰な酸素が供給されることはないのです。
気温が上がると酸素なし飼育は難しくなる
水中の飽和溶存酸素量は、温度や気圧の変動によってその上限が変化します。具体的には、水温が上昇すると酸素の溶存上限が低下し、逆に水温が下降すると酸素の溶存上限が増加します。
これを基に考えると、涼しい季節や冬は、エアレーション(ブクブク)なしでの飼育が比較的容易であると言えます。一方で、水温が高くなりがちな夏季は、酸欠のリスクが高まるため、エアレーションなしでの飼育は推奨できません。
魚の生存に必要な酸素量と温度による飽和溶存酸素量の関係
溶存酸素量は、略してDO(Dissolved Oxygen)とも呼ばれます。魚が生きていく上で必要とされる酸素量は、1リットルあたり3mgとされています。また、魚を健康的に育て上げるためには、5mgの酸素量が推奨されます。
もし水中の酸素量が3mg以下に降下すると、魚は酸欠状態に陥り、死亡のリスクが高まります。酸欠になった魚は、「鼻上げ」と呼ばれる行動を示し、水面に顔を出して酸素を求める姿が観察されます。
水温・水量とその影響についての溶存酸素量
以下は、異なる水温における溶存酸素量の情報です。16度時点と30度時点での酸素量は顕著に異なり、特に夏と冬の温度変化には注意が必要です。
特段、28度付近では溶存酸素量の上限が限られているため、過密飼育やエアレーション(ブクブク)を使用しない状態では、水質が悪化する可能性が高くなります。
水温 | 1Lあたり |
---|---|
16度 | 9.56mg |
18度 | 9.18mg |
20度 | 8.84mg |
22度 | 8.53mg |
24度 | 8.25mg |
26度 | 7.99mg |
28度 | 7.75mg |
30度 | 7.53mg |
メダカの飼育では、屋外での管理が一般的であるため、特に夏季には酸欠に注意が必要です。エアレーションを利用すると同時に、暑さへの対策も並行して実施することを推奨します。
メダカをエアレーション(ブクブク)なしで飼う方法
水中の酸素量は一定の上限を持ち、その量は水温や気圧に影響を受けます。
エアレーション(ブクブク)なしでメダカを飼うための条件を整理すると、以下の4つの要点が挙げられます。
1匹あたり約2.5Lの水を確保する
メダカのサイズはおおよそ2.5cm〜4cmで、体が低いため、1匹あたり必要な水量は比較的少なく済みます。
ただし、5匹〜10匹をブクブクなしで飼う場合、それなりの水量が必要になります。特に夏は、高い水温で酸素量が減少し、メダカの活動量も増えるため、酸欠や水質の悪化が起きやすくなります。
トロ舟、フレーム水槽、ビオトープでの屋外飼育を行う際は、できるだけ多くの水量を確保し、メダカを複数飼うことをお勧めします。
睡蓮鉢やビオトープ用のプレケースは小さなものが多いため、サイズが気に入ったものを選ぶだけでなく、メダカの飼育数と水量が適しているかをチェックしましょう。
エアレーション(ブクブク)なしの飼育目安
水量 | 飼育可能数 |
---|---|
8L | 3匹程度 |
適切な混泳を心がける
メダカをエアレーション(ブクブク)なしで飼う場合、容器のサイズに合った適切な混泳が必要です。
大きな水槽であれば、20匹〜30匹の混泳も可能ですが、小さな睡蓮鉢やトロ舟では酸欠が起きやすく、メダカが死んでしまうリスクが高まります。
メダカの数が増えれば増えるほど、必要な酸素量も増え、エアレーション(ブクブク)なしでの飼育が難しくなります。
外部フィルターの利用を控える
外部フィルターは、水を外部のフィルターでろ過して水槽に戻す装置ですが、空気と接触せずに水を循環させるため、酸素供給が難しいです。
エアレーション(ブクブク)なしで飼育する場合、空気を多く取り込む外掛けフィルターや上部フィルターの利用がおすすめです。これらのフィルターは、水面を大きく動かし、空気を巻き込みながら水流を作ることができます。
水草の育成には注意する
多くの水草を植えると、ソイルや水草に付着するバクテリア、そして水草自体も酸素を消費します。酸素や水流が不足すると、バクテリアは死滅し、水質が悪化します。
バクテリアの死滅は油膜の発生を引き起こし、水面からの酸素の取り込みを阻害します。これが負のスパイラルを生み、水槽が濁り、メダカの健康を害する可能性があります。
エアレーション(ブクブク)なしでメダカを飼い、水草も楽しみたい場合、酸素をあまり消費しないマツモやアナカリスを1本〜2本程度に抑えると良いでしょう。
電源がない場合にエアレーション(ブクブク)できるグッズ
メダカはデリケートな生物であり、水質の微妙な変化やストレスから簡単に健康を害し、最悪の場合、命を落としてしまいます。特に、酸素レベルがわずかに低下して持続的な軽度の酸欠状態が生じると、死亡リスクはさらに高まります。
特に春から夏にかけて、水温が30度近くに上昇する時期には、エアレーションを使用せずに1匹あたり1Lの水量で飼育すると、メダカの半数以上が高い確率で死んでしまう可能性があります。
飽和溶存酸素量は目視で判断することはできないため、酸欠を未然に防ぐためにも、エアレーションはメダカ飼育において基本中の基本と位置づけ、その実施を強く推奨すべきです。
屋外でのメダカ飼育におすすめのアイテム
屋外でのメダカ飼育は一般的でありますが、エアレーションの利用には通常、コンセントが必要となります。したがって、トロ舟やビオトープを設置する場所に電源がない場合、エアレーションの利用が難しい状況も考えられます。
しかし、「電源がないからエアレーションを使用しない」という選択は、メダカの健康を危険にさらすものとなります。したがって、屋外での飼育においては、電源が不要なエアレーションの導入が推奨されます。
ソーラー充電+バッテリーによるエアレーション
このエアレーション装置は、電源を必要とせず、ソーラーによるバッテリー充電とバッテリー駆動によるエアレーション動作が可能で、夜間でもソーラー電源がなくてもブクブクさせることができる商品です。
2秒ごとにエアレーションが動作するエネルギー効率の良いモードも利用可能で、これもおすすめポイントの一つです。
ソーラーパネル自体は雨天にも耐えることができますが、バッテリーの接続部は防水仕様ではないため、小さなビニールを使用して防水処理を施すことで、屋外でも安心して使用することができます。
ソーラー稼働式のエアレーション
このエアレーションはソーラー動作型で、蓄電機能は持っていません。スポンジフィルターとの連携が可能であるため、水質の改善という観点からも推奨できるエアレーションシステムです。
曇りの日でも機能しますが、ビオトープやトロ舟を家の影に設置している場合、光の量が不足し、動作しない状況も発生する可能性があります。
エアレーションが使えない時の対処方法
酸素タブレットを使う
酸素タブレットは、水と反応して酸素を発生させる過酸化カルシウムを使用した仕組みとなっています。
一粒につき約1ヶ月間の効果がありますが、連続的な酸素供給は期待できません。視覚的な美しさを損なわないため、鑑賞の際や一時的な見た目の調整、またエアレーションが利用できない緊急時などに便利です。
ただし、飼育している容器の水量が多い場合、必要なタブレットの量も増え、コスパが悪くなる可能性があります。さらに、過酸化カルシウムが水に溶けることで水質が変わり、メダカが不調をきたすリスクもあります。
特に、水質の変化に敏感なメダカを飼育している場合、酸素タブレットの使用は慎重に行うべきです。
外掛けフィルターを使う
外掛けフィルターは、水を吸い上げて上部から排水する構造を持っているため、多くの空気と接触しやすく、酸素の取り込みが効率的です。
この特性により、過密飼育でない範囲であれば、外掛けフィルターを使用することでエアレーション(ブクブク)なしでもメダカを安心して飼育することが可能となります。
上部フィルターを使う
上部フィルターは、水槽の上端に取り付けるフィルタータイプで、水を吸い上げてフィルター上部を通過させることで、多くの空気と接触し、効率よく酸素を取り込むことができます。
水がフィルターから落下する際に空気を含むため、事実上、エアレーション(ブクブク)を行っているのと同じ効果があります。
ただし、水槽のサイズと飼育するメダカの数がバランスを保つことが重要で、過密飼育にならないよう配慮が必要です。