水槽に現れる小さな貝やスネールは放っておくと水草やフィルター、ガラス面に大量に張り付いて景観や水質を悪くする恐れがあります。
さらに成長の遅い水草は食害にあう恐れもあるので放っていて良いことはありません。小さな貝やスネールは水槽に持ち込まないのが一番ですが、水槽に発生してしまったときは素早く適切に駆除することをおすすめします。
この記事では小さな貝・スネールの駆除方法や食べる魚、水槽にもたらす害について紹介します。
水槽に発生する小さな貝・スネールの種類
水槽に現れる小さな貝はスネールと呼ばれます。スネールの発生原因の多くはアクアショップから持ち帰った水草や魚の飼育水に紛れている卵や稚貝が原因です。
スネールにも種類があり、種類によって駆除できる難易度が変わります。
カワコザラガイ
水槽内に発生する白い粒のような小さな貝はカワコザラガイである可能性が高いです。大きさは2mm~3mmにしかなりませんが、繁殖力が高いため、水槽内があっという間に白い粒々だらけになることもあります。
水草が食べられてしまう食害は起きませんが、水槽を掃除するときにカワコザラガイが原因でガラス面を傷つけてしまうことがあるので早期に駆除した方が良いです。
ヒラマキガイ
ヒラマキガイは呼称ではなく、科としての総称のため、ラムズホーンなども含まれます。
繁殖力が高く、一度発生するとなかなか駆除ができません。大きいものは2cm程度まで成長するため貫禄がでてきます。成長速度が遅い水草やco2を添加していない水槽では水草が食害にあう可能性があります。
モノアラガイ
立体的で丸い小さな貝はモノアラガイの可能性が高いです。
モノアラガイは繁殖力が低い部類なので爆発的な増殖はしませんが、水草や熱帯魚を買ったときに持ち込みやすいです。1匹程度なら素手で取り除くだけで根絶することもできます。
水槽に小さな貝やスネールが発生する原因
水草に付着している
アクアショップで購入した水草には高確率でスネールの卵や目では見落としてしまう小さな貝が付着しています。付着していることに気づかずに水槽に入れてしまうと、そこが発生源となって小さな貝やスネールが水槽内で大発生します。
水草には水中葉と水上葉がありますが、水上葉には小さな貝やスネールは付着していません。ショップで水中葉を購入したときは「水草その前に」を使用しましょう。
水草その前にを使用する理由については「水草その前にの使い方と効果」の記事が参考になりますのでそちらをご覧ください。
硬水の水質環境
小さな貝やスネールは硬度の高い水質を好み、発生しやすいです。
硬度が高い水には小さな貝やスネールの貝殻を形成するカルシウムが豊富に含まれているため、繁殖を促してしまうのです。
日本の水道水は硬度が高い地域が多いです。硬度を下げる濾過材を使って軟水に近づけることで小さな貝やスネールの成長と繁殖を妨害することができます。
使い回したソイルや砂利に付着
一度、小さな貝やスネールが発生した水槽のソイルや砂利を使い回すと次の世代の水槽でも小さな貝やスネールが発生する可能性が高いです。
ソイルを乾燥させていても小さな貝やスネールの卵が復活することがあるので、小さな貝やスネールが原因で水槽をリセットしたときは新しいソイルや砂利を使って立ち上げることをおすすめします。
小さい貝やスネールを駆除する方法
小さな貝やスネールを食べる魚を入れる
小さな貝を餌とする魚はかなりの数に上り、混在させやすい魚も豊富に存在します。特にバジスバジスやスカーレットジェムが代表的です。
シクリット系(スズキ目カワスズメ科)に分類される魚は高確率で小さな貝・スネールを食べてくれます。生き餌を抱負与えている時は餌の量を少し減らすことで、水槽内にいる小さな貝を副食として食べてくれる傾向にあります。
ただし、貝類を食べる魚を水槽に入れるときは、石巻貝やゴールデンアップルスネールといった貝類も食べられてしまうことを念頭におく必要があります。
様子見をしている間に食べられて殻だけになっていることがほとんどなので、混泳せず、石巻貝やゴールデンアップルスネールだけ別水槽に移すといった対策が必要です。
フィルターやホースの中を洗浄する
水槽内の小さな貝やスネールが一向に減らないときは、フィルターを繋ぐホースやフィルター内にスネールが大繁殖している可能性があります。
ホースやフィルターが温床になっていれば、解決することはできないので、ホースを新品に取り替えてフィルター内部も綺麗に洗浄した方が良いです。
水槽の中身全てを取り除くリセットよりもリスクや苦労がないので、リセットをする前に試してみると良いです。
水槽をリセットする
スネールを手作業やメラミンスポンジで除去しても効果が見られない、または貝を食べる魚を入れても減少しないときは、フィルターや装飾品に存在するスネールの卵や稚貝が隠れて繁殖している可能性があります。
どんな手段を試しても状況が改善しないときは、水槽の中身全てを取り出して洗浄する「リセット」することを考えるべきです。
しかし、水槽のリセットは環境を完全に再構築するため、これまで飼ってきた魚や水草がストレスを感じる可能性があるので最終手段と思った方が良いです。
水槽を弱酸性に傾ける
スネールの数を自然に減らす方法として、水槽を弱酸性の軟水状態にすることが効果的です。これはスネールにとって生存が難しい環境をつくり出すからです。
スネールは貝殻を形成するためにカルシウムを必要とします。したがって、PH値が高く、硬水を好むスネールはそのような環境ではより生息しやすく、繁殖もしやすくなります。それゆえ、その反対の条件、つまり弱酸性で軟水の環境を作ることでスネールの数を自然に減らすことができます。
弱酸性で硬度が低い環境では、スネールは貝殻の硬さを維持できなくなります。その結果、通常スネールを食べないネオンテトラなどにも捕食される可能性が高まります。
貝を潰して卵を除去する
小さな貝やスネールを見つけたらピンセットなどで押しつぶして潰します。
潰すことで貝類を積極的に食べないネオンテトラやエビなども食べるようになります。これにより数を減らすことが望めます。
また、小さな貝やスネールを潰すだけでなく、ガラス面や水草に付着した卵の塊を見つけたらスポンジやヘラで取り除くようにすべきです。繁殖行動の妨害と潰すことによって水槽内の小さな貝やスネールの根絶が狙えます。
スネール駆除剤を使う
スネール駆除剤はスネールの撲滅を目的とした特別な薬品です。
体高が薄いカワコザラガイのような、物理的な排除や魚が食べにくい小さな貝・スネールの駆除に効果的です。
魚やエビへのリスクが全くないわけではありません。万が一影響が出れば、その生体は確実に死んでしまう可能性があるため、使用には高いリスクが伴います。
さらに、駆除剤は貝の品種によって効果が異なるため、ヒラマキガイに効果が無いケースも報告されています。
小さい貝やスネールを食べる代表魚
バジス・バジス
バジスバジスをはじめとするシクリッド系(スズキ目カワスズメ科)は小さい貝・スネールを好んで食べる個体が多いです。水量25Lあたり1匹いれば小さい貝・スネールを全滅させることもできます。
小さい貝を食べる個体はフレークや顆粒餌といった人口餌を食べない個体が多い点は頭に入れておくと良いでしょう。
アベニーパファー
アベニーパファーは小さな淡水フグで小さい貝やスネールをよく食べます。
アベニーパファーによっては貝類が主食となる個体もいるため、水槽内に発生する貝類は全て食べ尽くすことができます。
アベニーパファーはエビや小さい魚、他の魚のヒレをかじることがあるので混泳はできないと思った方が良いです。
スネールキラースネール
スネールの中には他のスネールを捕食する種類も存在します。
「次はスネールキラースネールが増殖しすぎるのではないか」と疑問を持つ人もいるかもしれませんが、この種は産卵数が少なく成長も遅いので、限定的な数であれば管理が簡単です。
さらに水質が悪化すると水面近くに移動する傾向があり、これを利用することで水質状態のインディケータとして役立てることもできます。
アピストグラマ
アピストグラマも意外にスネールを好みます。スネール全体を獲物とし、カワコザラガイは言うまでもなく、肉質が豊かなモノアラガイやヒラマキガイも喜んで食べます。ただし、キラースネールやラムズホーンまでも食べてしまうため、貝類との共生はむずかしいです。
小さい貝やスネールを食べる小型魚一覧
小さい貝やスネールを食べる小型魚のほんの一例になります。また、個体差や飼育環境によっては必ず食べるわけではないことをご承知ください。
- バジスバジス
- アピストグラマ
- ラミレジィ
- エバーグラディピグミーサンフィッシュ
- クーリーローチー
- アベニーパファー
- チェリーバルブ
- ゴールデンバルブ
- スネールキラースネール
- ベタ
小さな貝やスネールに害はある?
カワコザラガイ、ヒラマキガイ、モノアラガイは、水槽内でよく見かける小さい貝・スネールの典型的な種類といえます。視覚的な問題を引き起こすだけでなく、育成環境によっては水草にダメージを与えることもあります。
硬度が上がるリスク
小さい貝やスネールは小さいとはいえ貝類であるため、数が多ければ水槽内の硬度が高まる可能性があります。その結果、水草の健康状態が悪化したり、綺麗に育たないことがあります。
水草が食害にあうリスク
小さな貝やスネールの数に対して水草の成長速度が恐ければ食害にあうリスクがあります。とくにco2を添加していない水槽では、ロタラなどの成長速度の早めの水草であっても小さい貝やスネールが多ければ葉に穴が開くほど食べられる可能性があります。
ガラス面を傷つけるリスク
稚貝が繁殖するとガラス面をメラミンスポンジやスクレーパーで掃除するときに貝殻を引きずってしまい、その拍子でガラスが傷つく恐れがあります。
小さい傷も増えていけば水槽内の透明度が悪く見えたり、一部の傷が気になって全体が美しく見えないといったことになりかねません。
小さい貝やスネール駆除によくある質問
- 小さい貝やスネールを駆除する方法は?
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メラミンスポンジなどで手で取り除いたり、スネールを食べる魚を入れる、スネールを潰して食べてもらう、フィルターを洗う、水槽をリセットするといった方法が挙げられます。いずれも水草を持ち込むときにトリートメントしたり、大繁殖する前に駆除することが大切です。
- ヒメタニシとスネールの違いは何ですか?
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貝類の総称がスネールなのでヒメタニシもスネールです。人気のあるレッドラムズホーンも増えすぎるとスネールと同様に駆除が大変になります。
- スネールの繁殖方法は?
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小さい貝やスネールは雌雄同体(しゆうどうたい)といってオスメスがありません。そのため、2匹いれば繁殖ができてしまいます。