トラッカーをブロックするかどうかの決定は、プライバシー保護とネットの利便性のバランスを取る難しい問題です。トラッカーをブロックすることで、ユーザーのプライバシー保護が強化され、不要な広告の表示が減少し、ウェブページの読み込み速度が向上するメリットがあります。
しかし、ブロックすることでログイン情報などを毎回入力する手間が増えるなどの利用制限がされたり、個人に合わせたコンテンツ(おすすめ記事など)や広告が表示されなくなるなどのデメリットも存在します。
したがって、広告がうざい＝トラッカーをブロックするとは賢明とは言えません。利用するサイトごとにトラッカーをブロックしたり、許可したり柔軟な対応が必要です。
トラッカーとは何か
トラッカーの基本的な機能
トラッカーは、インターネット上でユーザーの行動を追跡するツールやプログラムのことを指します。これらは主に、ウェブサイトの訪問者がどのページを閲覧したか、どの広告をクリックしたか、どれだけの時間を各ページで過ごしたかなどのデータを収集するために使用されます。
この情報は、ユーザー体験の向上やユーザーの興味関心に合わせて広告の表示、さらには市場調査の目的で活用されることが多いです。トラッカーによる分析は、ウェブサイトの改善や効果的なマーケティング戦略の策定に不可欠な役割を果たしています。
Cookieとトラッカーの関係
Cookieは、ウェブサイトがユーザーのブラウザに送信し、そのデバイスに保存される小さなデータファイルです。これらはトラッカーによって広く利用され、ユーザーの行動や好みを記録する主要な手段となっています。
例えば、ウェブサイトはCookieを使用して、ユーザーがサイトを再訪した際に彼らを識別し、カスタマイズされたコンテンツや広告を提供できます。
また、Cookieはショッピングカートの内容を記憶するなど、オンラインショッピングにおいても重要な機能を果たします。ただし、Cookieを通じたトラッキングはプライバシーに関する懸念を引き起こすこともあり、その使用にはユーザーの同意が必要とされることが増えています。
トラッカーをブロックするメリット
プライバシー保護できる
トラッカーをブロックすることにより、ユーザーのオンライン行動が追跡されることなく、個人情報のプライバシーを守ることができます。ウェブサイト訪問時の閲覧習慣や検索履歴が第三者に収集されることを防ぎ、不要な情報の収集からユーザーを保護します。
このような措置は、オンラインでの身元の秘匿性を高め、個人のデジタルフットプリント（サイトを閲覧した痕跡のようなもの）を最小限に抑える効果があります。結果として、オンライン上でのプライバシーを確保し、個人情報の不正利用や情報漏洩のリスクを低減できます。
広告を減らすことができる
トラッカーのブロックは、個人に合わせたターゲティング広告の数を顕著に減少させることができます。トラッカーによって収集されたデータはしばしば広告配信の最適化に利用されるため、これを遮断することで、ユーザーに対して無関係または望ましくない広告の表示が減ります。
その結果、よりクリーンで関連性の低い広告が少ない状態にでき、ネットサーフィンなどのネット利用がより快適になります。また、広告が少ないことで、情報の探索や必要なコンテンツへのアクセスが容易になるという利点もあります。
サイト閲覧（表示）のスピードが上がる
トラッカーや広告をブロックすることにより、ウェブページのロード時間が大幅に短縮されることがあります。多くのトラッカーや広告がウェブサイトの読み込み速度を遅くする主要な原因であるため、これらを除去することでページの表示が速くなります。
特に、画像や動画などの重いメディアコンテンツを多く含む広告がブロックされると、その差は顕著になります。これにより、ネットサーフィンがスムーズになり、時間の節約にもつながります。特に、インターネット接続速度が遅い地域や時間帯、通信制限において、この効果はユーザーにとって大きなメリットとなります。
トラッカーをブロックするデメリット
一部のウェブサイト機能が制限される
トラッカーをブロックすると、一部のウェブサイトで利用できる機能が制限される場合があります。
例えば、ログイン状態の保持やカート内商品の記録など、ユーザーの便宜を図るためにCookieを使用する機能が正常に動作しなくなることがあります。
この結果、毎回ログイン情報を入力したり、サイト利用が複雑になったりするなど、ウェブサイトの利用が不便になることがあります。特に、オンラインショッピングやSNSなど、個人認証を必要とするサービスの利用に影響が出やすいです。
利用サイトの利便性が向上しなくなる可能性がある
トラッカーのブロックにより、ウェブサイトの運営者はユーザーの行動や好みを分析する機会を失います。
その結果、ウェブサイトは訪問者に合わせたカスタマイズやユーザーが欲する機能を提供することが難しくなり、全体的な利便性が向上しない可能性があります。
例えば、ニュースサイトが読者の関心に合った記事を提案できなくなったり、オンラインストアが過去の購入履歴に基づいた商品をおすすめできなくなるなど、個人に合わせた情報提供の精度が低下する恐れがあります。
自分にとって良い広告との機会損失に繋がる
トラッカーによる追跡をブロックすることで、個人の興味やニーズに合わせた広告が表示されなくなります。これは、ユーザーにとって関心のある新製品やサービス、特別な割引情報などの受け取り機会を逃すことを意味します。
たとえば、趣味や最近の検索履歴に基づいた広告から新しい興味や趣向を見つけることができなくなり、有益な情報を得られるチャンスが減少します。（例えば、旅行やショッピングなどのセールやキャンペーンなど）
このように、トラッカーのブロックは、一見プライバシーを守る措置のように思えますが、自分にとって有益な情報やサービスの発見を妨げる可能性もあるという点で、デメリットとなる場合があります。
トラッカー（Cookie）のブロック方法
ブラウザごとのトラッカーブロック方法
Google Chrome
Google Chromeでトラッカーをブロックするには、「設定」メニューから「プライバシーとセキュリティ」セクションに進み、「Cookieと他のサイトデータ」のオプションを選択します。
ここで、「すべてのCookieをブロックする」を選択するか、より詳細な設定を通じて特定のサイトのトラッカーを制御することができます。このブラウザでは、「トラッキング拒否」リクエストを送信する設定も利用でき、ユーザーのプライバシー保護を一層強化します。
Microsoft Edge
Microsoft Edgeでのトラッカーのブロック方法は、「設定」にアクセスし、「プライバシー、検索、そしてサービス」を選択することから始まります。ここで、「追跡防止」セクションを見つけ、「オン」に設定します。さらに、追跡を許可するレベルを「基本」、「バランス」、「厳格」の中から選ぶことができ、使用状況に合わせたカスタマイズが可能です。
Firefox
Firefoxでは、「プライバシーとセキュリティ」の設定にある「強化型トラッキング保護」を利用してトラッカーをブロックします。ユーザーは「標準」、「厳格」、「カスタム」の中から選択でき、カスタム設定ではCookieの扱いやトラッカーの種類を細かく設定することが可能です。Firefoxはデフォルトで多くのトラッキングを防ぐための設定が有効になっており、プライバシー保護に力を入れています。
トラッキング防止の拡張機能を使う
Privacy Badger
Privacy Badgerは、トラッカーを自動的に検出してブロックする無料の拡張機能です。ユーザーの閲覧行動に基づいてトラッキングを学習し、訪問したサイト上で活動する見えないトラッカーを阻止します。この拡張機能は、プライバシーを尊重しつつウェブサーフィンをより安全にするための優れたツールです。
Ghostery – プライバシー広告ブロッカー
Ghosteryは、ウェブページ上のトラッカー、広告、その他のポテンシャルに侵害する要素を可視化し、ブロックする拡張機能です。ユーザーは個別のトラッカーや広告を選択してブロックすることができ、サイトの読み込み速度を向上させると共に、プライバシーを保護することが可能になります。
DuckDuckGo Privacy Essentials
DuckDuckGo Privacy Essentialsは、サイトの安全性を格付けし、トラッキングをブロックすることでオンラインプライバシーを強化する拡張機能です。また、検索もプライベートに保ち、ユーザーが訪れるすべてのサイトで強化されたプライバシー保護を提供します。
Adblock Plus – free ad blocker
Adblock Plusは、不快な広告をブロックし、トラッキングを防止することでウェブサーフィンを快適にする人気の拡張機能です。また、マルウェア配布サイトのブロッキングにも寄与し、ユーザーのセキュリティを向上させます。
