債務整理には、新たな借入れが難しくなる、信用情報に記録される、特定の職業に就けなくなる可能性がある、手続きに費用がかかる、一部の債務が免責されない可能性があるなどのデメリットがあります。
これらは債務整理を行う際に慎重に考慮するべきポイントであり、借金の負担を軽減するための重要な判断材料となります。より詳しい情報は債務整理に強い事務所に相談することをお勧めします。
債務整理のデメリット
債務整理の共通するデメリット
債務整理を考える際には、その利点だけでなく、いくつかの共通するデメリットも理解しておく必要があります。これらのデメリットは、手続きを選択する上で重要な考慮点となります。
一定期間、新たな借入が難しくなる
債務整理を行うと、その事実が信用情報機関に記録されます。その結果、一定期間、新たな借入れが困難になることが一般的です。つまり、銀行や消費者金融からの新規のローンやクレジットカードの発行が難しくなります。
この期間は、手続きの種類にもよりますが、一般的には完済から5年は続くことが想定されます。そのため、将来的に資金が必要になる可能性がある場合には、債務整理の選択を慎重に考える必要があります。
信用情報に記録される
債務整理を行うと、その記録は信用情報機関に登録されます。この記録は、信用情報として一定期間保持され、金融機関などがローンの審査を行う際の判断材料とされます。
信用情報に債務整理の記録があると、審査の結果に影響を及ぼし、新たな金融サービス(カード発行やローン組み)の利用が制限されることがあります。信用情報の記録期間は、手続きの種類によって異なりますが、記録が残っている間は、金融機関からの信用を得にくくなります。
手続きに費用がかかる
債務整理には、司法書士や弁護士に支払う報酬のほか、裁判所に支払う申立て費用など、様々な費用が発生します。特に、自己破産や個人再生のような裁判所を通じて行う手続きでは、高額な費用がかかることがあります。
費用は、手続きの種類や債務の状況、選択する専門家によっても大きく変わるため、事前にしっかりと確認し、計画的に進めることが重要です。また、費用を捻出すること自体が困難な場合は、法テラスなどの公的支援を利用する選択肢も考慮することができます。
債務整理の種類 | 相談料 | 手続き費用 |
---|---|---|
過払い金請求 | 無料 | 返還額の27.5%〜 |
任意整理 | 無料 | 一件につき27,500円(税込)〜 |
自己破産 | 無料 | 440,000円(税込)〜 |
個人再生 | 無料 | 住宅ローンなしで440,000円(税込)〜 住宅ローンありで550,000円(税込)〜 |
任意整理のデメリット
一部の債権者が和解に応じない可能性がある
任意整理を進める際、最も心配な点の一つが、全ての債権者が和解に応じるとは限らないことです。任意整理は、債務者と債権者の間で直接交渉を行い、返済計画を見直す手続きですが、この過程で債権者全員が合意に至るとは限りません。
特に、大きな損失を避けようとする債権者は、提案された返済条件を受け入れない場合があります。和解が成立しない場合、その債権者に対する債務は元の条件で返済を続けなければならず、債務整理の目的が部分的にしか達成されない可能性があります。
全ての債務が対象とならない場合がある
任意整理においては、全ての債務が対象となるわけではありません。通常、住宅ローンや公的な借金など、特定の債務は整理の対象外となることがあります。
これは、これらの債務に特別な保護を与える法律が存在するため、または担保付きローンの場合、債権者が物的担保に基づいて優先的な回収権を持つためです。
その結果、任意整理を行っても、これらの債務に関しては影響を受けずに残り、全体の負担軽減が期待ほどにはならないことがあります。したがって、手続きを始める前に、どの債務が整理の対象となるのかを正確に理解することが重要です。
個人再生のデメリット
手続きが複雑であり、時間がかかる
個人再生の手続きは、自己破産や任意整理と比較しても複雑性が高く、完了までに長い時間がかかる場合があります。手続き完了までには、裁判所の審査を受け、債務を再編するための詳細な計画を提出する必要があります。
また、債権者からの異議申し立てに対処する必要が生じることもあります。このような手続きの複雑さと時間のかかる性質は、債務者にとって大きな精神的な負担となり得ます。
住宅ローンなど特定の債務は免責の対象外の可能性
個人再生を行っても、住宅ローンや税金など、特定の債務が免責の対象外となる場合があります。特に住宅ローンに関しては、住宅を手放さずに債務整理を進めたいという人にとっては重要なポイントです。
しかし、これらの債務については、個人再生の手続きでは特別な扱いが必要となり、場合によっては完全には免責されない可能性があります。これは、個人再生の目的が住宅を保持しながら生活を再建することにあるため、一部の債務は引き続き責任を負う必要があるためです。
一定の条件を満たす必要がある
個人再生を申し立てるには、一定の条件を満たす必要があります。例えば、債務の総額が一定範囲内であることや、一定期間内の収入が見込まれることなど、具体的な資格条件が定められています。
これらの条件を満たさない場合、個人再生の申し立てが認められないことがあり、代わりの債務整理手続きを検討する必要が生じます。これらの資格条件は、個人再生を通じて債務者が経済的に再生することが現実的に可能であるかを判断するために設けられています。
官報に名前が掲載される
個人再生を行うと、その事実が官報に掲載されることがあります。官報は、法律上の公告を行う公式な出版物で、ここに名前が掲載されると、債務整理を行った事実が広く公知のものとなります。
これはプライバシーに関する懸念を引き起こす可能性があり、特に社会的な立場や職業によっては、影響を受ける可能性があります。官報への掲載は、債務整理手続きの透明性を確保するための措置の一つですが、個人にとってはデメリットと感じることもあります。
自己破産のデメリット
ブラックリストに登録期間が長い
自己破産を行うと、その事実は信用情報機関に記録され、「ブラックリスト」に名前が登録されることになります。この状態は、通常、5年から10年という長い期間続きます。
この期間中は新たなローンの申込みやクレジットカードの作成が困難になるため、日常生活における金融取引に大きな影響が出ます。特に、将来的に住宅ローンや車のローンを考えている人にとっては、重大なデメリットとなり得ます。
破産者リストに名前が掲載される
自己破産の手続きが完了すると、破産者の名前は「官報」に掲載されます。官報は政府が発行する公式な公報で、様々な法的な手続きの公告に使われます。
この公告は、一般には目にすることは少ないですが、名前が公にされることに抵抗を感じる人も少なくありません。また、特定の業界で働いている人の場合、この情報が職場や関係者に知られることによる社会的な影響も懸念されます。
免責不許可事由がある場合には免責が得られない
自己破産手続きでは、原則として債務が免責されますが、免責不許可事由が存在する場合、免責が得られないことがあります。例えば、故意に債務を増やした場合や、資産を隠した場合などがこれに該当します。
免責不許可事由が認定されると、たとえ破産手続きを行っても、債務から解放されないため、手続きを行う目的が果たせなくなります。
一定の職業に就けなくなる可能性がある
自己破産をすると、警備員、公認会計士、弁護士など、一定の資格を持つ職業や公的な職に就くことができなくなる場合があります。
これらの職業は高い信用性や責任感を要求されるため、破産者にはその資質が疑われると考えられるからです。職業選択に大きな制限がかかるため、自己破産を考える際には将来のキャリアにも影響が出ることを十分に考慮する必要があります。
住宅など一部の財産を失う
自己破産を行うと、借金を清算するために持っている財産の一部を失うことがあります。例えば、自宅などの不動産や高価な車、貴金属など、一定の価値がある資産は手放すことになる可能性があります。
ただし、生活に必要な最低限の家財や衣類、職業上必要な道具などは、保持できる場合があります。財産を失うことによる生活への影響は大きいため、自己破産の選択は慎重に行うべきです。